マイホーム購入後の、ムダのない保障とは?

住まいをどのように構えるか。昨今では、家族構成の変化など、ライフステージの状況に合った住み替えができる気軽さで「賃貸派」も増えつつあるとはいえ、やはり自分の城を持つ夢が捨てがたい「持ち家派」が多数を占めているようです。双方ともメリット・デメリットがありますが、持ち家のメリットのひとつとして「保険を減らせる」ことが挙げられるでしょう。マイホームを購入して住宅ローンを組む際には、「団体信用生命保険(団信)」に加入するのが普通です。それにより、ローン返済中にもしものことがあっても団信からの保険金でローンの残債が清算され、家族に住まいを遺せます。以降のローン返済はなくなるため、家計から住居費の支出はかなりの部分がなくなることになります。つまり、家族の住居費分として加入していた保障額は、減らしても大丈夫ということです。むしろ、保険を減額しないとムダな保障にお金を払うことになり、貯蓄が進まないなど不健全な家計になる可能性があるといっていいでしょう。

住まいの保障は、大きなリスクだけに絞る。

マイホームを持ったら気を配りたいのは「住まいの保障」です。ヒトの保障については公的保障が大きな役割を果たしますが、建物やクルマなど、モノについては公的保障がほとんどありません。自分の財産は自分で守るべきと、「自己責任」が問われるわけです。

しかし、ヒトを保障する生命保険分野の商品に比べ、モノを保障する損害保険分野の商品には意外に関心が薄いという傾向が見られます。特に「火災保険」はわかりにくい面が多いため、不動産会社などが勧めるままに加入し、そのままになっているケースが少なくありません。本当にわが家に必要な補償内容なのか、よく吟味しないとムダな保険料を支払うことになります。火災や地震のように、一生のうち遭うかどうかわからないが遭ってしまったら被害が大きいリスクのカバーは、保険ならではの役割です。しかし、子どもが窓ガラスを割ってしまったなど日常的に起こりうるけれども小さなリスクなら、あえて保険でカバーする必要はないでしょう。幅広く補償する内容が好まれがちですが、中身を冷静にチェックすれば、必要、不必要が見えてくるはずです。

POINT

  1. 住宅ローンの「団体信用生命保険(団信)」で住居費はカバーできるため、その分死亡保障を減らしてもOK
  2. 住まいの保障は火災、地震など遭ったら被害が大きいリスクカバーに絞って加入する
  3. ムダな保障に保険料を払い続けると、貯蓄が進まないなど不健全な家計になる可能性がある

浅田 里花

1959年兵庫県生まれ。

1982年同志社大学卒業後、日興證券に入社、証券営業に携わる。1988年独立系FP会社株式会社エムエムアイに入社、ファイナンシャル・プランナーとなる。1993年フリーでの活動をスタート。生活者対象のファイナンシャル・プランニングを担当するほか、執筆、講演活動もこなす。現在、FPサービス会社株式会社生活設計塾クルー取締役、個人事務所リアサイト代表。日本FP協会会員CFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)一級FP技能士。
著書は、『知ってトクする生命保険と個人年金の上手な掛け方選び方』(日本実業出版社)など。